活用事例 Case Studies
2023年09月04日
サカタインクスーClimate Visionで洪水リスクシナリオ分析を実施
洪水リスクに関する分析にClimate Visionの将来気候シナリオ分析機能を活用。
密なサポートにより、適切かつ効果的な情報開示などを実現
タグ:上場企業、製造業(化学)、洪水リスク、TCFD/CDP
サマリ
背景・課題
- 洪水リスク・気候変動リスクは重要
- TCFDに向けた定量的な将来気候シナリオ分析が困難
- 今年から水セキュリティの対象になったこともあり、CDPの質問書への回答をより適切なものとするため
ソリューション・Gaia Visionを採用した理由
- Climate Visionにより現在気候及び将来気候におけるリスクを定量化し、1.5°C/2°C/4°C昇温シナリオにおける洪水リスクの財務影響評価を実施
- CDP回答支援コンサルティングにより、具体的な改善案を提供
- 様々な分析結果と関係者間での議論により、対外的な開示内容の最終化・社内の合意形成を実現
- 財務影響評価を含めて定量的な将来気候シナリオ分析を簡単に実現できることがGaia Visionを採用した決め手
インパクト
- 多角的なリスク評価により、具体的な対策検討に繋げることが可能に
- 財務影響を含む定量的な将来シナリオ分析により、ポイントを押さえたCDP回答を作成・説得力のある対外説明が可能に
背景と課題:洪水リスクの将来の気候シナリオ分析が困難
サカタインクスは、長期ビジョン「SAKATA INX VISION 2030」において、「地球環境と地域社会を重視したESG・サステナビリティの取り組み強化」を重要な戦略とし、「持続可能な地球環境を維持するための活動」を重要課題の一つとして掲げ、地球環境を保護し、人々が安全に健康で暮らせる社会を目指しています。その一環として、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明するとともに、TCFDが提言する開示フレームワーク(気候関連のリスクおよび機会に関するガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標)に沿った情報開示を積極的に進めています。また、TCFDだけでなく、環境評価の情報開示に国際的に取り組む非政府組織(NGO)であるCDPの質問書への回答にも取り組んでいます。
当社は世界中に多数の工場を有し、中でも日本国内には大阪などに4つの工場があります。これらの工場は国内の主要工場であるので、洪水リスクは当社が捉えるべき重要なリスクとなっております。
これらサステナビリティ関連の情報開示に向け、全国各地・世界中にある工場における洪水リスク評価・気候シナリオ分析を行う必要がありました。しかし、国土交通省や自治体の公表する洪水ハザードマップでは、将来の気候シナリオ分析に使えるデータは取得できず、不十分だと考えていました。
また、CDPへの回答は過去にも行ってきたものの、今年から水セキュリティに関する回答の対象になったのもあり、回答をより適切なものにしたいと考えていました。
ソリューション・Gaia Visionを採用した理由:
Climate Visionにより簡単に定量的な洪水リスクのシナリオ分析を実現し、コンサルサービスによりCDP回答案をブラッシュアップ
こうした将来の気候シナリオ分析などの課題を解決するために、サカタインクスが導入したのが、Gaia Visionの洪水リスク評価プラットフォームであるClimate Visionです。Climate Visionは、現在気候及び将来気候シナリオにおけるリスクを定量評価が可能なサービスです。
地球温暖化が進み、1.5度もしくは2度、4度気温上昇した際のシナリオにおける洪水リスクも、各地点ごとに定量的に分析・比較ができることは、適切な情報開示を行う上で非常に有用でした。また、各拠点の財務情報を入力することで、各確率ごとに洪水発生時の損害額(直接損害・間接損害)も算出できることも説得力を持つ情報開示に繋がりました。
こうした財務影響評価を含めた定量的な将来気候シナリオ分析を簡単に実現できることがGaia Visionを採用した決め手です。
また、システムの利用と併せて提供されるCDP回答支援コンサルティングサービスも有意義でした。サカタインクス側が作成した物理リスク関連のCDP回答ドラフトに対して、具体的な改善案を提案頂き、議論を重ねながら最終化させることができました。
実際に情報開示を行ううえでは、分析結果だけでなく、結果を解釈して、社内で合意形成を図る必要があります。そのうえで、Gaia Visionの方との議論を通じて、数字の意味合いや根拠を理解できたことは有意義でした。また、CDP回答の作成にあたり、気候変動や洪水リスクの知見とCDP回答の知見を踏まえて、具体的な改善案や理由に関する詳細な提案を頂き助かりました。
インパクト・今後に向けて:ポイントを押えたCDP回答を実現・多角的なリスク評価によりグローバルで具体的な災害対策検討へ
Gaia Visionのサービスを利用したことで、多角的に自社の抱える自然災害リスクを理解し、対策について具体的に検討することに繋がりました。また、例年以上に手応えのあるCDP回答を作成することが出来ました。Climate Visionを活用し、気候シナリオ分析・財務影響評価を行ったことで、社内外に対してより具体的でわかりやすい開示を行うことができました。
また、今後に向けて分析対象範囲を海外に拡大することを計画しています。当社は海外にも工場を所持しており、将来的には海外の工場に関しても同様なリスク評価を行いたいと考えています。今回、国内の工場を対象にClimate Visionを使ってリスク評価を行い、必要な情報を得ることができました。Climate Visionは海外の拠点も対象にできるため、引き続きGaia Visionのソリューションを活用して、気候変動リスクの評価や情報開示を行っていくことを検討しています。
企業情報
サカタインクス株式会社
- 業種:化学
- 社員数:連結4,862名(2022年12月31日時点)
- 本社所在地:大阪府大阪市
サカタインクスはビジュアル・コミュニケーション・テクノロジーの創造をビジネステーマに、新たな領域への挑戦によって“イノベーション” を生み出し、“地球” にやさしい技術で、“人生”を快適かつ豊かに彩り、世界中に笑顔があふれる未来を創る企業です。
事業内容:
- 各種印刷インキ・補助剤の製造・販売
- 印刷用・製版用機材の販売
- 電子機器・情報関連機材の販売
- 機能性材料関連品の製造・販売
- 輸出入
お話をお聞きしたご担当者様
サカタインクス株式会社 グループ経営企画本部 ESG推進部
まとめ(Gaia Visionより)
今回は、Climate Visionを活用して洪水リスク・財務影響評価、CDPの物理リスクの回答支援をさせていただいたサカタインクス様にお話をお聞きし、記事化させていただきました。
サカタインクス様は、ESGとサステナビリティに焦点を当てた長期ビジョンを持っており、TCFDやCDPへの対応も行っています。TCFDで求められる定量的な将来気候シナリオ分析にあたり、Gaia Visionにお声掛けいただきました。
Gaia Visionでは、高度なシミュレーション技術による、将来気候シナリオ分析やグローバルでのリスク分析を強みとしています。財務影響評価もWebアプリケーション上で計算可能としています(国交省の物理リスク評価の手引の手法に準拠。Gaia Visionもプロダクト例として掲載)。また、CDPをはじめとした情報開示対応支援にも対応できることが強みです。本取り組みでは、サカタインクス様のニーズに沿う形でプロダクト・サービスの提供を行い、効果的なCDP回答やサカタインクス様社内での共通認識の醸成を得られたのではないかと考えています。
今後とも、グローバルでのリスクマネジメントなどを通じて、同社の気候変動に対するレジリエンスの向上と外部からの信頼獲得に貢献していきたいと考えております。
もしご不明点などがございましたら、お気軽に資料請求・お問い合わせいただければと思います。
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